慶應義塾大学歯学部!?
約一か月ほど前、私の母校である東京歯科大学と慶應義塾大学との合併のニュースが報道されました。
私自身の経歴としても、東京歯科大学卒業後、慶應義塾大学医学部に所属する歯科・口腔外科学教室にて仕事をしてまいりましたので、両校ともに縁のある人間です。
もともと両校のつながりは深く、慶應義塾大学医学部の歯科・口腔外科の教授は代々東京歯科大学卒業ですし、医局員も多数派でした。現在は、全国様々な歯学部を卒業した歯科医師が働いています。
先月、慶應の歯科研修医に対して歯周病の講義をさせていただきましたが、今年は国立大学を卒業した歯科医師が多く、東京歯科色は薄れてきたなと思った矢先のニュースでした。
まだ、私の知る限りでは決定したわけではなく、両校で協議に入った段階だということですが、実現したと仮定して今の気持ちを書こうと思います。
率直に思ったのは、東京歯科大学がなくなることに対する寂しさです。よく、今後は慶應歯学部卒業と名乗れるね!と言われますが、名乗れません笑。私の場合は、慶應病院で育ったのでそこに対する愛着はありますが、母校はあくまでも東京歯科大学ですし、その名称がなくなるのは寂しいです。日本最古の歯科大学ですし・・・
周囲に聞いても、そのような意見が多かったです。偏差値が上がって子供を母校に入れづらくなる、なんていう意見もありました笑。
しかし、歯科界全体で見ればいいことだと思います。
慶應義塾大学は、日本の私立大学ではトップと言っていいと思いますし、そのような大学が歯科の世界に入ってくることは、いろいろな変化が期待できます。歯学部は、国立大学や日大を除いて単科大学が多く、横のつながりがないため、世界が狭く発信力も弱いです。
例えば研究分野では、慶應の医学部では再生医療の研究で世界的な評価を得ている研究室もありますが、そういったノウハウが歯科の分野にも広がって、歯や歯周組織の再生の研究が進む可能性もあります。また、三田会という慶應義塾の同窓会組織は各界で大きな影響力をもっており、それが歯科界にとっても様々なメリットをもたらすのではないか?となんとなく想像します。
ただ一つ気がかりなのは、私が育った医学部の歯科・口腔外科はどうなるのか?というところです。
毎年8名の研修医を受け入れており、すでに後輩だけで100名以上います。東京歯科大学では、慶應には成績上位者しか受からないと有名でしたし、各大学からも優秀な人材が集まっていますので、OBは歯科の様々な分野で活躍しています。しかし、歯学部ができるとなると他大学の研修医は来づらくなるでしょうし、慶應歯学部の学生もわざわざ信濃町に行かなくても水道橋に慶應病院があるわけで・・・。
歯科研修医は多くはやはり母校に残りますが、一部の学生は外に出ます。しかし、その時にわざわざ他の歯学部に行く人は少ないのです。多くは医学部付属病院や都立病院に出ます。
今後は医学部の歯科・口腔外科は研修医を採らなくなるのか?歯学部からの出先になるのか?
歯科医師国家試験の難化、私立歯学部の定員割れ、少子化を迎え歯学部は厳しい状態です。その中で、東京歯科大学は市川に総合病院を持ち、国家試験合格率は高いため、慶應としても考える価値はあると判断したのでしょう。
しかし、その他の歯科大学はどうなってしまうのか?
今後も合併や吸収が起こるのかもしれません。